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鳥φ ★:2010/01/26(火) 11:15:47 ID:???0
日本野球機構(NPB)が選手に対して行ったアンケートの結果が報道され、話題になっている。
アンケートのテーマはプロ引退後の「セカンドキャリア」についてで、対象者は昨年10月に行われた
秋季教育リーグ「宮崎フェニックスリーグ」に参加した選手217人(平均年齢23.4歳)。
主に報道されたのは「引退後の生活」と「引退後の希望進路」で、生活に不安があると答えた
選手は74%にのぼった。希望進路の1位は高校野球指導者。「最もやってみたい仕事」として
あげた選手は24%で、「興味がある」という答えを含めると、その率は73%にのぼる。
記事の多くは、憧れの職業であるはずのプロ野球選手の4人に3人が将来に不安を抱えているという
論調だった。実はこのアンケートは07年末から行われており、過去の結果でも同様の数字が
出ている(07年の調査では、生活に不安があると答えている選手の率は今回より高い76%だった)。
今回、アンケート結果が報道され注目を集めたのは、大不況により多くの人が生活や雇用の
不安に怯えている現状があるからだろう。「プロ野球選手だって例外ではない。
一般人と同じように生活の不安を感じているのだ」というわけだ。
だが、冷静に考えてみると、アンケートでこうした回答が多くなるのも当然だ。
優勝劣敗が明確に表れる世界。去年活躍できたとしても今年も同じ成績を残せる保証はないし、
大ケガでもすれば戦力外通告も覚悟しなければならない。
もちろんトップ選手は、サラリーマンの平均生涯賃金(大卒で約2億8千万円)を1年で稼いでしまう。
また09年の日本人全選手の平均年俸は3千793万円。これも一般人から見れば、うらやましい額だ
(税金で多くを取られるから、この金額を手にするわけではないが)。
だが、働ける期間は短い。過去の引退選手から算出したプロ野球平均在籍年数は8.5年。
10年働ければいい方で、多くは実動6~7年で球界を去る。ところが若くして高給をもらうものだから
有頂天になって高級外車に乗るなど生活は華美になる。
http://diamond.jp/series/sports_opinion/10088/ また、今回のアンケートに答えた若手選手は切実に感じていないだろうが、
引退後の保障となる年金制度の問題もある。MLBではメジャーに5年在籍すると
年金の受給資格が得られ、10年在籍すると年間約2千万円もの年金が45歳からもらえる。
一方、日本のプロ野球は10年以上の選手登録が受給資格であり、もらえる額は月額10万円程度。
受給が始まるのも55歳からだ。引退後の保障としてとても当てにはできない。しかも現行の
年金制度は2012年に廃止される。選手会はそれ以降も年金制度を残そうと活動しているが、
先行き不透明。こうした部分も選手の不安につながっている。
プロ野球が日本の人気ナンバー1スポーツとして全盛を誇っていた時代は、選手も引退後の
心配をするより、一流になって活躍することに集中していただろう。
経済状況もよく、辞めてもなんとかなると思えた。
だが、不況の波が押し寄せ、2004年には近鉄バファローズが親会社の経営不振で消滅、
球界再編騒動が起きた。親会社に頼る球団経営が厳しい時代に入ったことが
世間に知れ渡ったのだ。今も赤字で経営が苦しい球団はある。そして社会も大不況下にある。
こうした空気は選手も当然感じているはずで引退後の不安を抱えることになるのだ。
経済の衰退によって誰もが夢を見られない時代になり、プロ野球選手も夢を売る
商売ではなくなったのかもしれない。
この時期にNPBが選手のセカンドキャリアのアンケートを取り、その結果を公表するのは
意義あることだろう。選手の気持ちを伝えることはプロ野球の現状を知ることになる。
選手にセカンドキャリアを考える機会を作ることは選手の意識改革にもつながる。
報道されなかったアンケート項目に「野球を通して身についた社会人としての力」がある。
12ある設問の中で89%もの選手が「当てはまる」と答えたのが「辛い練習を続けてきたので
大抵のことには耐えられる」だった。その姿を球場で見せ観客を元気づけてほしいものである。
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